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ローカル5Gの実情と知られざる課題

高速ネットワーク
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携帯電話の世界では、5Gの普及は進んで来ており自分の住む田舎でも5Gが入るようになってきました。5Gの特徴として大容量通信が可能となり、動画などのダウンロードが短時間で完了できるなどのメリットがあげられていますよね。

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一方、同じような5Gと言うな前ですが、ローカル5Gという言葉も出回っております。こちらは、一般的な公衆回線の話ではなく、工場などの建物内で行われる通信に用いている通信方式のはなしです。

ローカル5Gを用いると、工場内での情報収集や稼働状態などが、画像や動画を使用して管理できるようになり、画期的な方式と期待されております。

 

しかし、実際のところ脚光を浴びだしてから数年経ちますが、未だに普及には程遠く、実証実験の領域を脱していないのが実態です。

それは、通信と言う領域の特殊性について、十分な理解ができていない人達が、普及に向けて取り組んでいることが多く、この部分で苦戦をしているからなのです。

結論

ローカル5Gの活用までには解決すべく課題が多く、普及には未だ数年は必要とする。

 

 

ローカル5Gとは何者でしょうか?

従来は工場内のインフラで、通信の基盤は有線の基幹システムにWiFiなどを使用して接続しておりました。

なぜなら、WiFiは非常に簡単にアクセスポイントに接続でき、かつ特殊な機材も必要なく一般に販売されている物が使用できるからです。

更には、特殊な免許も必要なく誰でもシステムを構築する事ができるのが大きなメリットでした。

一方、WiFiのデメリットとしては通信に遅延が発生することや、大容量のデータを転送する事ができないと言うことです。

これらのデメリットは小さいように感じますが、実際に使用していくといろんな所でボトルネックになる可能性があるのです。

ローカル5Gについて、ウィキペディアでは以下のように説明をされています。

日本国内では、通信事業者だけでなく、様々なニーズに応じて主体が利用可能な「ローカル5G」という制度が新設された[27]。たとえば「工場の建物内で、工場内専用の5Gを吹いて利用する」といった構内専用線のような使い方が可能になる。免許割当が必要である他、電波発射には無線従事者免許証が必要でありローカル5G免許を受ける企業内に無線従事者を置く必要がある。

 

このように、一般公衆回線で使用される5Gはキャリヤと言われる事業者が、基地局やアンテナを準備して一般ユーザーにサービスを提供するものですが、ローカル5Gは同じような特性を持った設備を、工場内などに独自に設置し使用するものがローカル5Gです。

通信方式や使用周波数帯等、スマホで使用している5Gと全く変わらないのですが、それをスケールダウンして会社で使用するようにしたモノなのです。

WiFiで言うアクセスポイントに変わるものが基地局となり、WiFiのアクセスポイントは出力も低く無線従事者の免許を必要としませんが、基地局を設置し運用管理していくには専用の無線従事者の免許を取得した人が必要となるところが大きな違いですね。

 

 

 

ローカル5Gのメリット

やはりなんと言っても、高い周波数を使用するために広い通信帯域を確保することができるので、画像や映像を送ることが簡単にできることでしょう。

しかも、伝送した際に遅延が発生しないために、殆どリアルタイムで映像を確認することができるのです。

WiFiと比較した内容がウィキペディアに出ておりました。

比較

ここにも出ていますが、伝送遅延が約1/7まで短縮できるんですね。だから動画を配信しても遅れないので、問題が発生したときなどの観測に非常に役立つのです。

そして何より、SIMを使用しますので認証設定したものしかアクセスできないと言うことで、セキュリティに関して非常に優れているということです。

自社内で使用する専用5Gになりますので、一般公衆回線のように不特定多数が使用するわけではないので、その点でもセキュリティのリスクは低くなります。

WiFiのようなIDとパスワードによる認証では無いため、頻繁に発生する不正アクセスに対して非常に効果が有ります。

 

ローカル5Gのデメリット

一方、ローカル5Gにもデメリットがあります。実は、現時点ではデメリットのほうが多いのではないでしょうか。

 

無線従事者の資格と免許が必要

WiFiなどの省電力通信の場合、無線免除を必要としない通信に分類されています。

一般的に出力が500mW以下である市民無線や、WiFiなどになります。また、スマホなどの携帯電話も実はこの500mW以下になるので電波を出しますが免許が不要なのです。

もっとも、携帯電話の場合には製造元が電波法に基づく技術適合認証を取得しておりますので、それを含めて免許は不要ということになります。

それに対して、ローカル5Gは5Gと一緒ですので、総務省が定める免許を必要としない無線局の対象からは外れていますので、取り扱うには無線従事者免許が必要になります。

正式には捜査をする人は第三級 陸上特殊無線技士を持っていないと機器の操作をすることができないのです。(国家試験資格になります)

また。無線局(基地局)を開局する際にも、総務省の審査を受け合格する必要があります。

手順としては

  1. 無線局の開局申請を書類にて行う
  2. 申請書の審査に不備が無ければ、予備免許が発行される
  3. 予備免許受領後、実際の開局に向けた機器の設置と動作試験を行い問題無いことを確認する
  4. 機器の設置と問題が無い事が確認出来たら総務省の落成検査を受け無線局が電波法に適合していること証明し検査に合格する
  5. 無線局の免許が交付される
  6. 実際の運用が可能

このように、機材を設置するだけでもかなりの時間を必要とするんです。

 

設備コストが非常に高い

もう一つの問題がコスト問題です。

WiFiの場合、アクセスポイントは高くても数十万円で購入することができ、工場内のネットワークを構築しても、たいした費用は掛からないと思います。

一方で、ローカル5Gの場合は基地局と言われるアクセスポイントが必要となり、それだけではなく、アクセスポイントから受けたデータの処理を行うコアネットワークという機器が必要になります。

基地局ですから、アンテナも必要になりますね。

アンテナ

アンテナも工場内をカバーするためには、複数個が必要となりますので、機器と工事費を含めるとかなりの高額になります。

これらの機器を導入し、設置すると費用としてはだいたい1千万程度必要とされるようです。最近では破格値のシステムも出てきており、約500万程度でこうちくできるようになってきたそうです。

 

しかしながら、500万も投資して得られる効果は実際に投資回収をしても有り余る効果がなければ、なかなか投資に踏み切ることはできませんね。

 

また、あまり言われていませんが、実際には運用上の致命的な問題が実はあるのです。

 

電波干渉との戦い

実はWiFiでも発生しておりますが、周波数の違いなどによりあまり分からないと思います。

これはローカル5Gになると顕著に出てくるのです。

ローカル5Gで使用する周波数はマイクロ波の領域になっており、電波の性質上直進性が非常に強く、壁などに当たるとそこで反射してしまいます。

そうした場合、発射側から受信側に電波が届く経路が

  1. 真っ直ぐ直進して直接届く
  2. 1つの壁に当たり反射して届く
  3. 複数の壁に反射して届く

このように、工場内のレイアウトが複雑になればなるほど、直接電波が届く場合より複数の経路を通り到達する場合が多発します。

このような場合、到達時間に差が発生しかつ電波の偏波面が変わってしまうために、マルチパスという現象が発生します。

マルチパスmultipath)という用語は、もともとの意味として「経路(path パス)が複数あること」を意味する用語で、当用語の使用領域ごとに次のように具体的意味が異なっている。

  • 無線通信電波伝播(radio propagation)の領域)無線信号が空間を伝播する際に、途中に山や建物がある等々が原因で、2つ以上の伝播経路が生じること。また、それにより生じる受信側の乱れを指す。正式用語ではマルチパスプロパゲーション(multipath propagation)といい、漢字では多重波伝播(たじゅうはでんぱ)と表記する。(歴史の長い用法)

デジタル無線通信(例えばGSM)において、マルチパスがエラーを引き起こすことがあり通信の品質に影響をおよぼす。エラーはシンボル間干渉(ISI:inter-symbol interference)による。等価器はしばしばISIを修正するのに使われる。また、このマルチパス耐性が高い通信方式としては、OFDM方式があり、CDMA方式においてはレイク受信機などマルチパス対策が施された受信機も存在する。
引用:ウィキペディア

 

このマルチパスが発生すると、通信品質が悪化するため目的の性能を達成することができないのです。

追記:実際の影響としては、信号は非常に強く基地局に届いているのですが、受け取った電波の復調ができないとか、復調できても画像が大きく乱れるとかが発生します。

つまり、電波が複数経路から到来するために、互いの電波で打ち消し合って信号の強度が落ちてしまったり、信号の位相が乱れてしまったりして通信品質が下がると言う事なんです。

スマホでアンテナは全立ちしているのに、通話ができないと言う場合がこのマルチパスの影響が考えられます。

 

更に悪いことに、電波は可視化できませんので、全て予測しながら対策を採ることになります。

対策としては、アンテナの指向性を上げてマルチパスの干渉を防ぐ、基地局を追加しカバー範囲を狭める等が上げられますが、どちらも高額投資が追加になってしまいます。

追記:ここまで対策しても、工場のレイアウトが変更になれば再び同じような不具合が発生する可能性が非常に高いんですね。

ローカル5Gの実情としては、こまかな伝送問題などが工場のレイアウトなどによりケースバイケースになってしまうため、これと言った決定だがありません。

追記:実際のデータハンドリングや、データ解析などは問題無く行われるのですが、電波干渉などの影響によりデータの質が低くなり、当初の目的を達成できるレベルには未だ到達していない。

また対策のために更なる投資追加などが発生し、回収めどが立ちにくいなどの問題もあり実際にはローカル5Gは実証実験の領域を未だ脱していないのです。

 

 

 

まとめ

このように、期待を受けて華やかにデビューしたローカル5Gですが、実情としましては

結論

ローカル5Gの活用までには解決すべく課題が多く、普及には未だ数年は必要とする。

と言う状況になっております。

 

現状のコストでは、大企業とておいそれと導入をする状況ではないレベルではないですね。

特に日本の企業文化である投資対効果に重きを置く体質では、決定的な呼応かが見えない中で高額投資はまずあり得ないでしょう。

DXと同じで、効果に拘る日本企業ではまだまだ普及は先でしょうね。

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じぇいかわさき
進撃の社畜/弱小プロブロガー 本ブログは、還暦で定年の世代の筆者が、まだまだやれるという事を証明するために新たな事に挑戦した事を情報発信しているブログです。同世代の人達に対して、まだまだいろいろと頑張れる、第二の人生を楽しく生きていく為に現状維持は退化、失敗の反対は行動しないことを座右の銘とし、思い立ったことにチャレンジした記録です。また、せっかく稼いだ収益を騙し取られないように、毎日来る迷惑メールなどのネットリテラシーについても情報発信をしています。 このブログは ネットリテラシー ブログ 働くこと について書いており、第二の人生で頑張る同世代の心に刺さる記事を目指してます。人生100年、まだまだがんばれます。 >> Twitterをフォローする