ホワイトカラーの生産性効率化のためにRPA(Robotic Process Automation)が推奨された背後には、多くの期待と課題が存在していました。
RPAは、ルーチンで繰り返しの作業を自動化するための技術であり、これによって労力と時間の節約、精度の向上、コスト削減が実現できると期待されました。
しかし、最近になりなぜRPAの話題が聞かれなくなったのかを理解するには、いくつかの要因を考える必要があります。
考えられる要因
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成熟度の向上: RPAは当初、革命的な技術として注目されましたが、その後、成熟度が向上し、実務での適用が一般的になりました。多くの組織がRPAを導入し、その効果を実感したため、新しさや驚きが薄れました。
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技術の一部化: RPAは一部の大手プレーヤーによって支配され、その技術が業界全体で標準化されました。このため、RPA自体が一般的で当たり前の存在となり、特に注目されなくなったと言えます。
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AIとの統合: AI(人工知能)技術の発展に伴い、RPAはAIと統合されることが増えました。この統合により、より高度なタスクの自動化が可能になり、RPA単体よりも進化した形態で活用されるようになりました。そのため、RPAという単独の言葉では説明しきれない場面も増えました。
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課題の浮上: RPA導入には課題もありました。たとえば、適切なプロセスの選定、導入コスト、セキュリティの懸念などが挙げられます。これらの課題に対処する必要があるため、RPAの成功は容易ではなく、その認知度は減少した可能性があります。
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拡張と発展: RPAは自動化の第一歩であると認識されるようになり、より高度な自動化技術への関心が高まりました。例えば、プロセスの自動化やデータ処理において、機械学習や自然言語処理を活用するケースが増加しました。そのため、RPA自体の存在感が低下した可能性があります。
まとめると、RPAは効果的なツールであることは変わりませんが、その話題が減少した主な理由は、成熟度の向上、技術の一部化、AIとの統合、課題の浮上、および自動化技術の拡張と発展が相まって、RPAを包括的に捉える必要性が増したためです。

その結果、RPA自体にフォーカスするよりも、より広範で進化した自動化戦略についての議論が主流となってきているためにRPA自体が取り上げられなくなってきた野田と考えられると思います。
それでは、RPAが衰退した真の原因は何だと考えるか?
RPAの衰退についての真の原因は多岐にわたりますが、以下にいくつかの主要な要因を挙げてみましょう
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限界の到達: 初期のRPA導入で期待された生産性向上やコスト削減の一部は達成されましたが、その後、多くの組織がRPAを既に導入済みであり、限界に達したと感じている可能性があります。つまり、RPA単体では新たな効果を得るのが難しくなったということです。
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複雑なプロセスへの対応: RPAは比較的単純なルーチンタスクの自動化に適していますが、複雑な業務プロセスや意思決定には限界があります。組織はより複雑なプロセスを効果的に自動化するために、他の技術やアプローチを模索する必要がありました。
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AIとの統合の必要性: AI技術の進化に伴い、データの分析、予測、自然言語処理などの高度なタスクを自動化する必要性が高まりました。このような高度な自動化には、RPAとAIを組み合わせたアプローチが必要であり、RPA単体では対応できなくなりました。
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適切なプロセスの選定の難しさ: RPAを導入する際、適切なプロセスを選定することが成功の鍵となります。しかし、これは難しい作業であり、一部の組織が適切なプロセスを見つけられなかったり、実行するためのデータの整備が難しかったりしました。
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高コストとセキュリティの懸念: RPAの導入には初期コストや維持コストがかかり、セキュリティの懸念も存在しました。組織はこれらの要因を考慮し、RPAの導入を検討する際に慎重になることが増えました。
つまり、RPAの衰退の真の原因は、単に技術の限界ではなく、より複雑な業務プロセスへの対応、AIとの統合の必要性、適切なプロセスの選定の難しさ、高コスト、セキュリティの懸念など、多くの要因が複合的に影響しています。
単に業務の自動化というだけではなく、業務プロセスの必要性や簡略化など、新たな自動化戦略に焦点を当てており、最近のトレンドはDXになってきていることが要因では無いでしょうか。
RPAはDXに取り込まれたと判断して良いか?
現状のDXの流れからいくと、RPA(Robotic Process Automation)はデジタルトランスフォーメーション(DX)の一部として取り込まれていると言えます。

以下はその理由になります。
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デジタルプロセスの自動化: RPAはデジタルプロセスを自動化するための技術であり、DXの中核的な要素の一つです。DXは、デジタル技術を活用して業務プロセスを改善し、効率化する取り組みを指します。RPAはこの目標を達成するためのツールとして非常に有用です。
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データ駆動の意思決定: DXはデータ駆動の意思決定を推進します。RPAはデータを収集し、処理し、分析するプロセスを自動化するのに役立ち、データ駆動型のDX取り組みをサポートします。
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プロセスの効率化: DXの目標の一つはプロセスの効率化です。RPAはルーチンな作業を自動化するため、プロセスの効率化に大いに貢献します。これにより、組織は生産性を向上させ、コストを削減することができます。
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顧客体験の向上: DXは顧客体験を向上させることを追求します。RPAを用いて、顧客対応プロセスを効率化し、迅速な対応や正確な情報提供を実現できます。これにより、顧客満足度が向上します。
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デジタルワークフォースの活用: RPAは仮想的なロボットによるデジタルワークフォースを構築する技術です。DXではデジタルワークフォースを活用して業務を推進し、人間の従業員と連携させることが求められています。
まとめ
RPAはデジタルトランスフォーメーションの一環として、業務プロセスの自動化、データ活用、プロセスの効率化、顧客体験の向上、デジタルワークフォースの活用など、多くの側面でDXをサポートする役割を果たしています。
そのため、RPAはDXに取り込まれた重要な要素と言え、RPAによりデジタル化されて業務の見える化が行われます。
それにより、その業務プロセスの妥当性や必要性が吟味できるようになり、場合によっては無くしてしまうことで効率化が図られるのです。
ひと昔前のRPAにより業務のオートメーション化をしようと言うもくろみは、不要な業務も一緒に自動化してしまい、現状のDXの観点からすると落ち度がある効率化でした。
従って、RPAがDXに取り込まれたと言うよりも、DXをすることでRPAの初期の業務プロセス解析が大いに役立っていると言った方が良いかと思います。
話題になったRPAでしたが、業務プロセスの本質を見極めないで自動化するツールだったことや、汎用性や展開性に課題が有った事が衰退した大きな理由でしょうね。
